モルフ一覧

黄色系モルフ

ハイイエロー

ヒョウモントカゲモドキといわれて、まず思い浮かぶであろうモルフ。ノーマル(野生のヒョウモントカゲモドキ)より黄色みが強いです。

ヒョウモントカゲモドキの品種改良のはじまりであるハイイエローの出現は1972年頃。野生個体の中から、黄色みが強いものを選別交配して作り出されました。ハイイエローと一口にいっても、黄色の出方や色味はかなり幅があります。

ヒョウモントカゲモドキの基本色であり、数多く出回っているモルフであるので、ハイイエローをノーマルとして販売されることもあります。

本来のノーマルは、ハイイエローよりも黄色い部分が薄かったり、黒っぽかったりしています。そのような事情もあり、本来のノーマルの表現型を異なる名称で呼び、品種扱いすることもあります。

ハイパーザンティック

ハイパーイエローよりも黄色が色濃くなり、黒いスポットやバンドの部分もよりくっきりと明瞭に黒くなることを目指して作成された品種。ハイパーザンティックとは「非常に黄化している」という意味です。古くはハイイエローの別名として使われていました。

タンジェリン

地色の部分がオレンジ色になるモルフです。ハイイエローには尻尾の根本にオレンジを発色するものがいて、そのような個体たちを選別交配し、胴体や頭部までオレンジを強くしたものを作り出しました。

タンジェリンとは柑橘類の1種であり、鮮やかなオレンジ色をしています。ヒョウモントカゲモドキのモルフであるタンジェリンも、その鮮やかな色合いから名付けられたものです。

同じタンジェリンでもオレンジの発色の度合いには違いがあります。実際には赤っぽい黄色くらいでもタンジェリンとして扱うことが多いです。

ハイポメラニスティック

胴体および全身の黒い斑点が少ないモルフです。ハイポメラニスティックの略称である「ハイポ」として呼ばれることが多いです。

ハイポとは「黒色色素が減少している」という意味です。

ハイイエローの中でも黒い斑点や地色の黒ずみが少なく、明るい体色をしたもの同士を交配して作り出しました。

ハイポよりもさらに黒い斑点が少なく、胴体や頭に斑点がほぼないかあるいは皆無であるものをスーパーハイポメラニスティック(スーパーハイポ)と呼びます。

エメラルド

エメラルドは背にうっすら黄緑色を帯びた色彩が広がる品種です。

エメラルドにタンジェリンのオレンジ色が加わったものをエメリンと呼びます。エメリンとは「エメラルド+タンジェリン」の略であり、作出者のロン・トレンパーによって名付けられました。

エメラルドの中で地の黄色みが強く背全体に黄緑が広がるものを「ライムエメラルド」と呼びます。また、エメラルドに加え、タンジェリンとイエロー、ラベンダー、ブラックなどの色彩も同時に発色しているものを「レインボー」と呼びます。

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黒系モルフ

メラニスティック

黒色色素が増加し全身が黒くなったモルフです。メラニスティックとは「黒化」を意味していて、完全に黒くなった状態のことを指します。

実際にメラニスティックとして出回っているものは、黒っぽいだけで完全な黒化でなかったり、少し黄色みがあったりと本来の意味でのメラニスティックではないです。

ヒョウモントカゲモドキの黒さの遺伝は謎の多い部分が多く、完全な黒化を目指すブリーダーたちによって研究が進められています。

ブラックパールとブラックベルベットはそのような黒色のモルフの中でも、特に黒みが強くメラニスティックに近い状態のモルフとして有名です。

近年ではブラックナイトやブラックパンサーなど、今までもモルフよりさらに黒化したモルフも登場していて、今後さらに、安定して黒化したモルフが出てくる可能性があります。

チャコール

チャコールとは木炭のことで、黒と灰色の中間のような色をしています。

他のブラック系モルフと違う点は、ベースとなっているモルフがハイポタンジェリンであるということ。ハイポタンジェリンの中で、地色が黒ずんでいる個体を交配させて作出されました。

実際のチャコール(モルフ)は、まだチャコールと呼べるほど黒くはありませんが、JMG Reptile社によって、さらに黒に近づけるための品種改良がなされています。

アルビノ

アルビノについて

アルビノといえば皮膚や体毛は白く、赤い瞳のイメージをもつと思います。赤目の白ウサギなんかは、まさにイメージするアルビノですよね。

白うさぎが白いのは、黒色色素であるメラニンが出ないからであり、瞳が赤いのは血管の色が透けて見えているからです。

ヒョウモントカゲモドキのアルビノは、白うさぎのように真っ白でなく、黄色の色素を持っているので白っぽい黄色といった感じです。模様は黒くないですが、茶色の模様をもつことがあります。

つまり、黒色の色素が完全に出ないわけではないのです。そのため、黄色やオレンジ、茶色、ピンクと発色のバリエーションが複雑であり、目もシルバーやブドウ色、淡いピンクのような色味になります。

ヒョウモントカゲモドキのアルビノには「トレンパー」「ベル」「レインウォーター」という3系統のアルビノが流通しています。それぞれのアルビノの別称は、作出したブリーダーの居住地が由来になっています。

トレンパーアルビノ(テキサスアルビノ)

Ron Tremper(ロン・トレンパー)氏によって発見されたアルビノ。3つのアルビノのうちでは最も早く世に出てきました。一番広く普及しているアルビノでもあります。

地色は黄色からオレンジで、そこに白~ピンク、ラベンダー色(淡い青紫)、茶色など様々な色が表れます。

トレンパーアルビノの色の出方は、孵化温度や飼育温度にも左右されます。高温で孵化・飼育されたものは明るい色みになり、低温だとメラニン色素は定着して黒ずんだ色になります。

黒ずんで褐色が強いものは「チョコレートアルビノ」と呼ばれます。

ベルアルビノ(フロリダアルビノ)

Mark Bell(マーク・ベル)氏によって発見されたアルビノ。3つのアルビノの中では一番新しいモルフです。

目の色に特長があり、明るいピンク色の目をしています。地色はクリーム色が多く、斑紋部分は茶色です。

レインウォーターアルビノ

Tim Rainwater(ティム・レインウォーター)氏によって発見されたアルビノ。レインウォーターアルビノは他の2種に比べて、色味が薄く明るいのが特徴です。

地色は黄色~クリーム色で、淡いピンクや白っぽい紫色のスポットがあります。目は、3種のアルビノの中で最も暗い色をしています。

スノー系

スノー

スノーという名の通り、体色の黄色みが減少し、地色が白くなったモルフです。アルビノ同様、スノーにも系統がいくつか存在し、遺伝的な性質も違います。

TUGスノー

The Urban Gecko社のグレイグ・スチュワート氏によって作出されたスノー系統の一つです。TUGスノーという名前は、The Urban Gecko社の頭文字から名付けられたものです。

白っぽいヒョウモントカゲモドキを、選別して交配することで作出されました。

TUGスノーは優性遺伝であり、マックスノーと互換性を示すため、マックスノーと掛け合わせることでスーパーマックスノーが生まれることがあります。

GEMスノー

Reptilian Gems社のJim Holler氏(ジム・ホーラー)氏によって作出されました。

幼体には黒いバンド模様が見られますが、成長につれてバンド模様が崩れて斑紋になっていきます。遺伝法則については、検証中であり、詳しいことは分かっていないようです。

マックスノー

外見は他のスノーと同じく、地色が白いです。

マックスノーという名は、生みの親であるブリーダーJhon Mack(ジョン・マック)氏からきています。

マックスノーの幼体は黒と白のバンド模様ですが、成長につれて白い部分が黄色みを帯びてきます。どの程度黄色くなるかは個体によりけりで、ハイイエローとほとんど見分けがつかない個体もいます。

他のスノー個体と異なる点は、共優性遺伝であることです。マックスノー同士を掛け合わせると、25%の確率でスーパーマックスノーが出ます。

スーパーマックスノー

マックスノー同士を掛けあわせて生まれるスーパー体です。

スーパーマックスノーの外見はマックスノーとは大きく変わり、黄色い色みは完全に消失します。模様は成長とともに黒いドットのような斑紋が全身に表れます。この斑紋の大きさは個体によりけりです。

瞳は例外なく黒のエクリプスアイになります。

模様変化

ストライプ

通常は黒いスポットが横向きのバンド状に固まるヒョウモントカゲモドキですが、ストライプは背の両側に沿って黒いスポットが固まり、背骨に沿ったラインに残った地色が縦に繋がるものです。逆に背骨沿いに模様の入るものも居り、リバースストライプの名で区別されています。

また背骨沿いの模様の太いものはボールドストライプ、赤っぽい色でストライプ模様が表現されるものをレッドストライプといいます。尾も胴体ほどではありませんが、ストライプのような模様になっています。

ストライプは、ロン・トレンパー氏によって発見されました。

ジャングル

柄が乱れていたり複雑な模様のようになっています。ノーマルの模様と同じく、幼体時ではよりくっきりと目立ち、成体ではぼんやりとした感じになります。

後述するアベラントと似た模様になりますが、尾のバンド部分と胴体のバンド部分の両方が乱れたものをジャングルと呼びます。

ジャングルは、ロン・トレンパー氏によって発見されました。

アベラント

柄が乱れていたり複雑な模様のようになっています。

ジャングルと異なる部分として、アベラントは胴体のバンド模様は乱れていて、尾を通常の個体と同じくバンド模様になっています。

ラベンダー

ラベンダー色(淡い青紫)が発色するモルフです。

ラベンダーは固定化された品種ではなく、発現させるには複数の遺伝子が影響していると考えられています。

ハイイエローやタンジェリンなど黒い色素が退縮する品種では、幼体時の暗色バンドが消えてその部分がスポットの集まりになる時期に、バンド部分の跡がラベンダー色に染まることが多くあります。

通常は、ラベンダー色が出ても成長とともに失われ、黄色に溶け込んでいくのですが、成体でもラベンダー色を残すものもいて、そうしたものをラベンダーと呼びます。

ボールドストライプ

ボールドストライプのボールドとは、太字のことです。

ストライプ(モルフ)よりも黒いくっきりとしたストライプ状の模様が両脇に入るのがボールドストライプです。頭部の模様も同様に、黒く太いものになっています。地色の部分には黒いスポットがほとんど散らず、黄色と太く黒い模様のコントラストになります。

ボールドストライプは血統によって遺伝形態が変わるとされています。規則的に劣性遺伝する血統と、同血統交配によって形質が強まっていく血統があると考えられています。ただし、どちらの血統にも互換性があり、異なる血統のボールドストライプ同士でもきちんと遺伝が伝わります。

ストライプに対するリバースストライプのように、ボールドストライプもリバースボールドストライプが存在します。

バンディット

バンディット(Bandit)とは英語で「盗賊」や「山賊」を意味します。その姿は、ちょうど泥棒ヒゲみたいに、鼻の上に黒い模様が入っています。

もちろんバンディット(盗賊)という名も、この泥棒ヒゲのような模様からきています。それ以外は、ボールドストライプによく似た外観をしている品種で、黒いくっきりとしたストライプ状の模様が両脇に入っています。

バンディットはロン・トレンパー氏による選別交配によって誕生しました。元となっているのはボールドストライプですが、バンディットの場合はバーがくっきりと入っているのが最大の特徴です。

縞模様を表すバンデッド(Banded)とよく混同されますが、本品種はバンディト(Bandit)です。幼体時の帯模様が成体でもくっきりと出ている個体を「バンデッド」と表すことがあるので注意してください。

遺伝形態は多因子遺伝(ポリジェネティック)ですので、同血統同士の交配によってより特徴の出た個体が誕生しやすくなります。

リバースストライプ

背骨に沿ってストライプ状の模様が入っています。

リバース(反転)の名が示すとおり、ストライプの模様がちょうど反転したような形になります。尾もストライプ(モルフ)と同様に、ストライプのような模様が入ります。

尾の部分の模様だけは反転していないので、ストライプ(モルフ)と同じであるのも特徴です。

パターンレスストライプ(パターンレス)

体の模様が少ない、あるいはほとんどないものをパターンレスストライプと呼びます。

模様を減退させる遺伝子が組み込まれているため、外見はハイポやスーパーハイポに似たものになります。

パターンレスストライプは、それ単体ではほとんど見かけることのない品種で、多くはRAPTORというモルフの中に組み込まれている形で見られます。RAPTORの要素の1つであるPはパターンレスを指しています。

マーフィーパターンレスというモルフがあり、関連性があるように聞こえますが、まったく関係のない別の品種です。

マーフィーパターンレス(リューシスティック)

全身の斑紋が消失してるのが特徴です。黒いスポットも頭から尾の先まで、一切入りません。肌の色は、黄色からクリーム色、薄茶からグレーのいずれかで染まります。

孵化してまもない幼体は、薄い模様が不規則に入ることがあるますが、成長につれ消失します。

マーフィーパターンレスは、Pat Murpfy氏によって生み出されました。発表された時期は1991年で、ヒョウモントカゲモドキの品種の中では、比較的古い部類になります。

リューシスティック(Leucisic)とは「白化」のことで、全身が真っ白になった状態を指します。日本ではリューシスティックという呼び名が馴染み深いですが、完全に白化した品種ではないので、本来の意味とは異なります。

そのため、マーフィーパターンレスという呼び方もよく使われます。

ブリザード

マーフィーパターンレスと同じく、全身の模様が消失しています。外観も似ていますが、色みはブリザードのほうがより白いです。

幼体のころから完全に斑紋がないところは、マーフィーパターンレスと異なる点です。

体色は、幼体時から亜成体までは白が強く、成体になるにつれて、黄色みやピンク色を帯びたりします。

黄色いブリザードは「バナナブリザード」として呼ばれます。ですが、本当のバナナブリザードは、ブリザードとマーフィーパターンレスの交配によって誕生するコンボモルフのことです。

個体によってはベージュがかったものやグレーっぽいものも存在し、特に色みが暗く、グレーが強い個体は「ミッドナイトブリザード」と呼ばれます。

バナナブリザードやミッドナイトブリザードというのは、固定された品種ではなく、色合いの程度を表すものです。

低温で孵化・飼育をすると体色は黒ずみやすいので、意図的に色合いを変えることもできます。

ブリザートの目の上が青っぽくなっているのは、眼球が透けて見えているからです。瞳にはエクリプスアイが出ることがあります。

これはブリザードの中にランダムに表れる特徴で、品種としてのエクリプスアイが組み合わさったものではありません。

そのため、遺伝はせず、エクリプスアイをもっている親同士を交配しても、子供はエクリプスアイを受け継ぐとは限りません。

エニグマ

エニグマとは「謎」を意味します。

色みが多彩で、全身に薄紫や白、黄色やオレンジなどが多彩に表れます。さらに、斑紋は細かく散らばり、量や形などは不規則に表現されます。年齢を重ねるにつれて、斑紋が変化することもあります。

エニグマによる表現の幅の広さは、まさに「謎」という名を体現しているといえます。

親が持つのと同じ特徴を、子に遺伝させることは、非常に難しいです。似た特徴をもつエニグマ同士を交配させても、まったく違う色彩や模様をもつ子どもが生まれることもあります。

単一モルフでここまで個性に溢れているのも珍しく、エニグマの魅力であります。

エニグマが登場した直後は、他にはない特徴をもつモルフとして一躍人気になり、さまざまな品種と組み合わせられました。そのおかげでコンボモルフのバリエーションは大きく増えました。

一時は絶大な人気を得ていたモルフですが、外見を固定して遺伝させることが難しく、後述する神経症状のこともあり、人気は落ち着いています。

エニグマの神経症状

エニグマには、首をかしげるような仕草をする、同じ場所をグルグル回るなど個体差はありますが、神経症状がみられるケースがあります。また、エニグマを使ったコンボモルフにも同様の症状がみられる場合があります。

勘違いされやすいですが、神経症状は精神がおかしくなったわけではありませんし、障害でもありません、言ってしまえば、一種の動きの癖みたいなものです。

症状の度合いによって、餌を獲るのが下手な個体がいるようなので、餌の与え方には気を使ったほうが良いかもしれません。

ほとんど症状はでない個体もいるようなので、神経症状を気にするのであれば、購入前にチェックしておきましょう。

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