ヒョウモントカゲモドキに与える餌

ヒョウモントカゲモドキは肉食で、昆虫類やクモなどの節足動物、小型爬虫類を食べます。飼育で与える餌は昆虫をメインにするのが基本です。

爬虫類用として売られているコオロギやミルワームなどを与えます。

餌用昆虫は生きているもの以外にも、冷凍タイプや乾燥タイプ、缶詰になっているものも販売されています。最近では、ヒョウモントカゲ用の人口飼料も利用できるようになりました。

それぞれ特長があるので、自分の飼育スタイルにあったものを選ぶとよいでしょう。

コオロギ

餌として一般に流通しているコオロギには、ヨーロッパイエコオロギ(イエコ)とフタホシコオロギ(フタホシ)があり、餌用昆虫の世界ではメジャーな存在です。

安価で入手しやすいことに加え、栄養バランスにも優れているので、餌としては理想的といえるでしょう。個体差による好き嫌いが少ないので安定して与えられます。

生きているコオロギをケージ内に放して与える場合は、飼育個体に噛み付いてケガをさせることがあるので注意してください。

ピンセットから与える、食べ残したコオロギは回収する、後ろ足を取って動き回らないようにしておくなどの方法をとることでケガを防ぐことができます。

ストックは簡単にできますが、鳴き声や臭い、過密飼育による共食いの問題があるので、飼育数や置き場所は考えたほうがいいです。

イエコとフタホシの違い

細かい違いはあれど、どちらともコオロギですから大きな違いはありません。見た目の好みで決めてしまっても問題はないです。

イエコとフタホシでレオパの食いつきが違う場合があるので、両方試して食いつきの良いほうを採用するのもありです。

フタホシはイエコよりストック環境にうるさいので、どちらかというとイエコのほうがオススメです。

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ミルワーム

ペット用の餌として流通しているゴミムシダマシ科の幼虫を「ミルワーム」と呼びます。

安価で入手しやすいことや扱いが簡単なことから、生き餌としてはコオロギと同じくらいメジャーな存在です。嗜好性が高い餌としても知られていて、ほとんどのレオパが好んで食べます。

コオロギに比べて、タンパク質とミネラル分がやや少なく、脂肪分がやや多いということで栄養バランスはあまり良くないです。

また、ミルワームはカルシウムとリンの比率が悪い餌とされています。カルシウムに対してリンが多すぎると、カルシウムの吸収をリンに阻害されてしまいます。

カルシウムが十分に吸収できず不足してしまうと、クル病という病気になる危険があります。そのためミルワームを餌として与えるときは、カルシウム剤をダスティングしてやります。

ダスティングをしておけば、クル病にならない程度にカルシウムを摂取することができます。

栄養バランスが悪いと前述しましたが、ダスティングとガットローディングによってある程度は改善することができます。

実際に栄養のある餌を食べたミルワームは、通常のものより大きく成長し、身もプリプリに太くなるので、ガットローディングの影響は大きいと思われます。

ミルワームの魅力はストックが楽なところであり、動きも遅く扱いやすいので、生き餌の管理を楽にしたい人にはオススメです。

ジャイアントミルワーム

ミルワームのなかでもゴミムシダマシ科ツヤケシオオゴミムシダマシの幼虫のことを「ジャイアントミルワーム」と呼びます。

販売店ではジャイアントミルワームという名前の他にジャンボミルワーム、スーパーミルワーム、Jワーム、ジャイアントワーム、スーパーワームという名前でも売られています。

名前の通り体のサイズがミルワームより一回り大きいです。ミルワームが2~3cmほどなのに対して、ジャイアントミルワームは4~5cmと約2倍の大きさがあります。

大きさだけではなく、栄養価や繁殖法も微妙に違うのでミルワームとは別物と考えたほうがいいです。

栄養価はミルワームに脂肪分を多くした感じになっています。さらに外皮はミルワームより硬いので、肥満や消化不良にならないよう給餌は慎重に行うようにしてください。

ストックは基本的にミルワームと同じで簡単ですが、繁殖させるにはサナギを隔離させるなど少しコツがいります。

過密に飼育するとサナギにならないという習性をもっているので、成虫の処理が面倒だと思う人はミルワームよりジャイアントミルワームのほうが楽に飼育できます。

ハニーワーム

ハチノコと勘違いしそうですがハチノスツヅリガの幼虫です。ハニワームはミツバチの巣に住みつきハチミツを食べています。

釣り餌であるブドウムシも養殖物はハニーワームです。ただ、釣り餌のハニーワームはサナギにならないように成長抑制用ホルモン剤が使われてる場合があるので避けたほうが無難です。

栄養豊富ですが脂肪分も多いのであげすぎると肥満になります。

クネクネした動きがレオパの食欲をそそり、脂肪も多く、柔らかいので嗜好性はかなり高めです。

嗜好性の高さゆえに、ハニーワームばかり食べさせているとレオパが偏食(ハニーワームしか食べない)を起こすこともあります。偏食を起こしたレオパが拒食を起こすと打つ手がなくなるので、メインでの使用は避けたほうがいいです。

拒食をおこした個体の食欲を回復させて太らせたいときや産卵直後のメスの回復などピンポイントで使うのが好ましいです。

シルクワーム

シルクワームとはカイコのことです。

カイコが食べている桑の葉にはビタミンC,ビタミンB1,ビタミンB2,ビタミンA,亜鉛,鉄,マグネシウム,カルシウムなどのビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。

そんな桑の葉を食べているカイコも栄養豊富で、レオパが食べる生き餌のなかでは理想に近い栄養価です。

その反面でストックという観点では、他の生き餌に劣るところが多いです。

カイコのストックには桑の葉の代わりに専用餌を用いるのですが、この餌が結構高いです。さらにカイコは大食漢ですから餌の消耗も激しいです。繊細な生き物でもあるので、管理も気を使ってやる必要があります。

そのためストックはせずに、使い切りで消費してしまうのがベターです。

デュビア

英名はアルゼンチンフォレストローチ。ローチすなわちコックローチはゴキブリを意味していて、デュビアはゴキブリの仲間になります。

ゴキブリというと嫌なイメージが湧いてきてしまいますが、デュビアはそのようなイメージを払拭し、生き餌として魅力あふれている生き物です。

まず見た目についてですが、メスの成虫と幼体は羽が生えておらず、ずんぐりむっくりとした外見をしています。例えるなら大きいダンゴムシ。おそらく何も知らない人が見たらゴキブリだとは思わないでしょう。残念ながらオスの成虫は羽が生えているのでゴキブリにしか見えませんね。

ゴキブリというと速いイメージがありますが、デュビアは遅いです。少なくともコオロギなんかよりは、ずっと捕まえやすいです。

また、垂直な壁を登ることはできません。飛ぶこともありません。正確にはオスは羽をもっていて完全に飛翔能力を失っているわけではないのですが、基本的には飛びません。仮に飛んだとしても、ブンブン飛び回るようなことはないです。

生き餌としてデュビアはコオロギに近い性質をもっていて、コオロギより優れた部分もあります。栄養価はコオロギと同等かそれ以上といわれています。

消化に悪い後脚や産卵管をもつコオロギと比べると、デュビアのほうが消化は良いと思います。噛み付くこともないので、レオパに危害が加わる心配もありません。

少し気になるのは、デュビアのサイズが大きいこと。アダルトのレオパでもオスの成虫がギリギリ食べられるかという感じです。メスの成虫はアダルトでも食べられません。

成虫になったデュビアは、繁殖用と割りきってしまうか、他の生き物に食べてもらって消費させる使い方になると思います。

ストックに関してはコオロギよりもデュビアのほうがいいです。臭くないですし、餌切れや水切れにも強いので管理が楽です。コオロギのように鳴かないので、うるさくもありません。

繁殖させるにあたって成長速度が遅いので、繁殖サイクルが遅いことは考慮しておいてください。

レッドローチ

英名はトルキスタンローチ。デュビアと比較すると見た目がゴキブリっぽくて、動きも速いのでゴキブリが苦手な人にはハードルが高いです。

栄養価はほとんどデュビアとほぼ同じでバランスがとれていて、サイズも小さいのでレオパにとっては食べやすい餌です。

レッドローチは成長が速いというのが売りで、繁殖サイクルを速く回せるので、少ない飼育数で効率よく繁殖させることができます。

コオロギよりはマシですが臭いがあるので、ローチの繁殖を考えたときに、臭いのないデュビアを選ぶか成長の速いレッドローチを選ぶかは選択肢ですね。

ピンクマウス

ピンクマウスというのは、生まれたばかりのマウスの赤ちゃんのことです。ヒョウモントカゲモドキは基本的に昆虫食ですが、ピンクマウスも食べることができます。

冷凍ピンクマウスというものが販売されているので、必要なときに解凍して与えます。

ピンクマウスはヒョウモントカゲ飼育において完全栄養食とされています。

栄養が豊富すぎるので、好きなだけ与えると、肥満や内蔵に負担をかけてしまうかもしれません。ピンクマウスのみにする場合は、給餌間隔を長くとったり、与える量を少なくするようにしてください。

好き嫌いの分かれる餌なので、レオパが食べてくれないこともあります。レオパは動いている昆虫に強く反応するので、動かないピンクマウスはなかなか餌と認識できないみたいです。

栄養面以外にも、保存に優れているというメリットもあります。

長期保存ができて、拒食した個体の回復にも使えるので、食べてくれれば心強い餌ではあります。食べてくれるかチェックする意味でも、一度はチャレンジしてもいいかもしれません。

レオパードゲッコーフード(レオパフード)

サムライジャパンさんが販売している配合飼料です。コオロギパウダーを中心に様々なものが配合されています。

レオパフードはパウダーになっていて、水と練り合わせて与えます。

レオパのことを考えてつくられているので、栄養価は申し分ないです。練り餌ですから消化もいいです。保存にも優れています。

欠点は好き嫌いが激しいこと。食べてくれる子はあっさり食べますが、練り餌をどうしても餌と認識できない子はいるみたいです。

飼い主の努力次第で意外と食べてくれるみたいですが、正直運が絡む部分があります。

値段も高いし食べてくれる保証はありませんが、栄養面・保存面に優れていて、虫やピンクマウスの相手をする必要もないので、試してみる価値はあると思います。


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