適切な飼育と観察が大事!病気と予防

ヒョウモントカゲモドキは丈夫な生き物ですが、悪い条件が揃ってしまうと、あっという間に体調を崩してしまいます。

病気になってしまったら、個人では対処できないことが多いので、獣医に頼ることになりますが、爬虫類を診てくれる獣医というのは少ないです。いざ病気になったときに、すぐ対応できるように、獣医を探しておくと良いです。

もちろん予防は大切です。病気というのは、飼い主と生体の両方に大きな負担がかかります。飼い主の不手際が原因の病気というのもたくさんありますし。治療が難しいものや後遺症が残るものもあります。未然に防げる病気は避けるようにするべきです。

以下のことを心がけて飼育しましょう。

  • 適温で飼育する
  • 飼育環境を清潔にしておく
  • 栄養のある餌を与える
  • ストレスを与えない

予防と同時に大事なのが観察。ヒョウモントカゲモドキのような小動物の病気は、進行が早く対処が遅れると手遅れになる可能性もあります。そのため早期発見は重要であり、日頃から良く観察して小さな変化も見逃さないようにしたいです。

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病気一覧

クル病

症状

手足、背骨、腰骨など、体の部分の骨が変形してしまう病気です。具体的な症状として、四肢が曲がって歩けない、腰が曲がって歩けない、口が開いたまま閉じない等の症状を起こします。

症状が重くなると死に至る場合もあり、治ったとしても一度変形してしまった骨を元に戻すことは難しいです。

原因

カルシウム不足から起こる病気とされています。カルシウムは食事から得るので、根本的な原因を挙げるなら、餌にカルシウムが足りないということです。

ヒョウモントカゲモドキに与えられている餌のほとんどは、カルシウムが少なくリンが多めの比率になっています。リンはカルシウムの吸収を阻害します。そのため、餌をそのまま与えるとクル病になる可能性があります。

夜行性の生き物で紫外線はあまり必要ないとされているので、紫外線ライトによる補助の有無は関係ないとされています。

対処

骨が変形すると元には戻せないので、予防が重要になってきます。

日頃から、与える餌にはカルシウム剤をダスティングしましょう。 小皿などにカルシウム剤を入れておくと、自分で摂取してくれることもあります。

カルシウム剤には、ビタミンD3が有るものと無いものが市販されてますが、特別ビタミンD3が必要というわけではないので、無いほうを選んでも大丈夫です。

幼体の成長期やメスの産卵には、大量のカルシウムを使うので、しっかり摂取させておきましょう。ただ、過剰なカルシウム摂取もクル病同様の症状を発症する事があるので、与えるにしてもやりすぎない程度にすると良いでしょう。

嘔吐

症状

食べた餌を口から吐き戻してしまいます。人間の嘔吐もかなり苦しいですが、爬虫類の嘔吐は人間以上に負担のかかる行為です。原因によっては、健康な個体でも起こりえます。拒食と併発しやすいトラブルでもあります。

原因

嘔吐は、様々な原因が考えられます。

  • 餌が大きすぎる、古すぎる(腐っている)
  • 餌の食べ過ぎ
  • 冷凍餌の解凍が足りない(芯が凍っている)
  • 急激な温度変化、飼育温度が適切でない
  • 触りすぎ、食後に触った
  • 感染症
  • 何らかのストレスを受けた(環境変化、騒音・振動など)

対処

嘔吐の原因として考えられるものを、シラミ潰しに対処していきましょう。原因によっては、放置すると深刻なトラブルが発生する可能性もあります。

嘔吐をした後は、消化器官にダメージを受けているはずなので、餌は控えて2~3日くらい様子を見ます。なぜ吐いたのかは、冷静になって考えてみると心当たりがあるはずです。

餌が合わないのであれば、変えてみる。冷凍餌の処理はしっかりとする。快適な飼育温度にする。触りすぎない。それぞれの原因に合わせて対処していきましょう。

何の理由もなく吐き戻しをするなんてことはないので、時間が解決してくれると思わないほうが良いです。

ヒョウモントカゲモドキは、食べる量を自分で調節できるので、食べ過ぎは起こりにくいのですが、稀に自制が効かない個体がいるようです。特に幼体は、食べ過ぎてしまう傾向にあるので注意してください。

どうしても原因が分からず、嘔吐が続くようでしたら、早めに動物病院で相談しましょう。

クリプトスポリジウム(クリプト)

症状

下痢や嘔吐、体重減少を起こします。餌を食べているのに、痩せていくのであれば、クリプトを疑ったほうが良いかもしれません。

クリプトが起こす症状によって、ヒョウモントカゲモドキは衰弱していき、最後は死に至ります。致死率の高い病気として知られており、特効薬も開発されていないので、クリプトになってしまったら、助かる見込みは薄いと思ってください。

原因

クリプトスポリジウムという原虫に寄生されることで発症します。そこらじゅうにいる寄生虫ではないので、長期間飼育している個体がいきなり発症することはありません。

基本的には、クリプトに感染した爬虫類から、糞や水を媒介として感染します。感染個体と接触したり、近くで飼育したりすれば、健常な個体もクリプトに感染する可能性はあります。糞の掃除や飼育器具に触れたあと、手を洗わないといったことも同様です。

感染した個体に使っていた、ケージや飼育用具、糞の掃除に使う器具などを使いまわすことから感染したケースもあります。

対処

クリプトを持ち込んでしまうと、他の爬虫類にも感染するので、全滅してしまう可能性もあります。そのため、感染した個体を持ち込まないことが重要になってきます。

爬虫類を購入するときは、クリプトの症状が出ていないか、観察するようにしましょう。衛生環境の悪いペットショップや信頼できないブリーダーから、購入することは控えたほうが良いです。

もし、クリプトの疑いがある個体がいたら、動物病院で診察を受けてください。非常に致死率の高い病気ですが、回復したケースはあります。治るかどうかは、生体と飼育者の頑張り次第です。

他に爬虫類を飼育しているのであれば、クリプトに感染した個体は隔離しておきます。糞除去や餌やりに使うピンセットを共用することも避けたほうが良いです。

クリプトによって亡くなったしまった場合、ケージや飼育用具といったものは、破棄するのが望ましいです。クリプトを完全に除去することは、難しいのです。水で洗った程度では不完全ですし、アルコールや塩素にも耐性をもっています。再利用をするのであれば、熱湯消毒と乾燥を徹底しましょう。

亡くなった個体の遺棄にも注意してください。庭や公園の土に埋めるようなことは避けましょう。自然環境に影響を与える可能性があります。爬虫類にもペット葬儀というものがあるので、火葬してもらいましょう。

クリプトには種類がいくつかあって、爬虫類に感染するクリプトが人間に感染することはないと考えられています。ですが、用心するに越したことはないので、飼育個体や器具、糞便を扱ったあとは、ていねいに手洗いをするようにしましょう。

性器露出(脱ヘミペニス、ヘミペニス脱)

症状

交尾後にヘミペニスが、露出したまま戻らなくなってしまう。ヘミペニスは交尾をするときに肥大して体外にでます。通常は、交尾後には収縮して戻るはずですが、何らかの原因で元に戻らなくなってしまうことがあります。

原因

正確な原因を特定するのは、難しいです。外傷かもしれませんし、ヘミペニスに付着した排泄物や分泌液などが固まることも考えられます。仮に原因が分からなくても、対応できますし、致命的な問題にはなりにくいです。

対処

数日間は様子を見てみましょう。そのまま放っておくと、自然に治ってしまうことも多いです。

砂や土の床材は、ヘミペニスに付着したり、傷つけたりする可能性があるので、キッチンペーパーや新聞紙など、違うものに変えたほうが良いです。

様子見して戻らないようであれば、動物病院で診察してもらいましょう

応急処置ではありますが、砂糖水につける治療法があります。砂糖水につけると、浸透圧でヘミペニスが縮んで、元に戻ることがあるようです。

この方法を試した後は、砂糖水が乾燥して、ヘミペニスにダメージを与えるかもしれないので、水で洗い流しましょう。砂糖水と水の温度は、30~35℃くらいのぬるま湯にしておきます。冷たすぎたり、熱すぎたりすると、生体の負担になります。

腸閉塞

症状

餌や誤飲した床材により、排泄物が消化管で詰まってしまう病気です。消化管が詰まってしまうことで、食欲の低下、腹部がパンパンに膨張する、糞の量が減少(あるいは出ない)といった症状が表れます。

原因

まず原因としてあげられるのが、消化不良によるもの。飼育温度が低いと、体温が下がるので消化能力が落ちてしまいます。消化能力が落ちた状態で、餌を食べ過ぎると、消化しきれず腸閉塞になります。

特に幼体は、元々の消化能力が低く、餌を許容量以上に食べようとする傾向にあるので、消化不良を起こしやすいです。

また、冷凍餌を解凍しきらないまま与えると、お腹が冷えるので消化不良に繋がります。

床材の誤飲も腸閉塞の原因として多いです。

野生のヒョウモントカゲモドキは、砂や石を舐め取ることで、ミネラルを摂取するので、多少の誤飲はありますし、たいていは糞として排泄されます。ただし、消化能力が落ちた状態で、床材を大量に食べてしまうと、排泄が追いつかず腸閉塞になってしまいます。

対処

動物病院に相談して、指示を仰ぎましょう。症状が重い場合は、手術をすることもあります。

腸閉塞は、飼育環境に気を配ることで、ある程度は予防できます。飼育温度は25~30℃に保つ。パネルヒーターを使い、お腹を温められるようにしてください。

砂や土の床材は、誤飲してないか観察しておきましょう。誤飲が多いようだったら使用を中止して、キッチンペーパーや新聞紙など誤飲の危険がないものにします。

コオロギの後ろ脚や羽、ミルワーム・ジャイアントミルワームの頭などは、消化に悪いです。可能であれば、給餌前に取り除いておくようにしましょう。

便秘

症状

何日くらい糞をしないと便秘だという、具体的なラインはないので、普段の糞をする頻度から判断します。目安ではありますが、1周間くらい糞をしていないようであれば、便秘を疑ったほうがいいかもしれません。

原因

飼育温度やストレスが主な原因です。

お迎え直後の個体は、ストレスで便秘を起こしやすいです。そのため、数日間は餌を控えることが推奨されています。神経質な個体だと、細かい環境の違いにもストレスを感じるので注意してください。

水分不足というのも便秘の原因です。稀に水入れから水を飲まない個体がいて、水分不足になっていることがあるので気をつけましょう。

対処

長期間飼育している個体が、いきなり便秘になったのであれば、最近変化したことはないか思い出して、原因を追求しましょう。

とはいっても、ヒョウモントカゲモドキは、ときどき理由もなく便秘をすることがあるみたいです。たまに便秘をする程度であれば、そこまで気にする必要はないでしょう。

便秘が続く場合は、何かしらの原因があるはずです。

便秘をした場合の対処法としては、以下の通りです。

  • 温浴
  • 水分摂取
  • ヨーグルト
  • レプラーゼ

温浴は40℃手前のぬるま湯に10~15分程度つからせます。お湯の温度は、40℃を超えないように注意してください。また、温浴中にお湯の温度が下がってしまうので、お湯を入れ替えるなどして、温度を下げないようにしてください。

便秘をしたときは、水分補給をしっかりさせましょう。この辺は、人間の便秘でも同じことですね。

水入れから水を飲まない個体には、霧吹きで水滴を舐めさせるか、スポイトで口元に垂らしてやると飲んでくれます。ウェットシェルターを設置していれば、内側に水滴が付くので舐めて水分補給ができます。

ヨーグルトも便秘に有効な食べ物です。腸内環境を整えてくれますし、水分補給もできます。

与えるときは、スプーンに乗せて、レオパの鼻に少し当ててやると、舐めてくれると思います。嫌がる場合は、ヨーグルトにコオロギやミルワーム等をすり潰したものを混ぜると食べるときがあります。

レプラーゼというのは、爬虫類用の整腸剤のようなものです。乳酸菌をはじめとした腸内細菌が主な原料で、ヨーグルトと同じく整腸作用が期待できます。

毎日与えても大丈夫ですので、いつも便秘気味の個体には日頃から与えましょう。(というよりレプラーゼは、使用法として毎日与えることが推奨されているようです。)

マウスロット

症状

口を半開きにしたままでいたり、チーズ状の膿を見つけたりしたら、マウスロットを疑ってください。

マウスロットは、感染症の口内炎です。この病気になったレオパは、食欲がなくなり、次第に痩せていきます。

原因

不衛生な環境でなることが多い病気です。

ピンセットによる給餌で、レオパが勢い良く食べて、口腔内を傷つけることで発症することもあります。健康な個体であれば、少しばかり口腔内に傷がついても自然治癒します。

ただ、不衛生な環境で長期間飼育されることで免疫力が低下し、細菌が繁殖する条件が揃ってしまい、マウスロットになる場合があります。

ペットショップの環境が劣悪なために感染してしまい、その個体を連れてきてしまうこともあるようです。

いずれにせよ、不適切な飼育が、レオパにとって良くない要因を複数発生させて、それらの積み重ねが、マウスロットに繋がるのです。

対処

口腔内の洗浄と膿の除去、患部の消毒、必要に応じて抗生物質がによる治療も行います。素人がこれらの治療をすることは難しいので、動物病院で診てもらいましょう。

口内炎だと思って、油断してはいけません。放置をすると重症化して、最悪死に至る病ですので、できるだけ早く治療してもらいましょう。

マウスロッドは細菌感染ですので、複数飼育しているのであれば、隔離しておきます。新しい個体を迎えるときは、マウスロッドの症状が出ていないか、チェックして購入したほうが良いです。

飼い主の不手際によってなることの多い病気ですので、日頃から健康な個体でいられるよう、きちんとお世話をしてください。

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