保温の方法と各種器具の特長

私たち人間は気温が上がったり下がったりしても体温を一定に保つことができます。

それに対して、ヒョウモントカゲモドキのような爬虫類は気温によって体温が変化します。このような動物を変温動物といいます。

変温動物はそれぞれ代謝活動が活発になる温度が決まっていて、その温度から大きくはずれると正常な活動ができなくなります。そのため変温動物は気温が大きく下がる冬場は、冬眠か休眠をするものが多いです。

ヒョウモントカゲモドキは25℃~30℃が適温となっているので、飼育する際はケージ内を適温に保つ必要があります。

他の爬虫類とくらべて温度にはうるさくないですから、適温の±5℃程度であれば許容範囲内ですが、拒食や消化不良を起こしやすくなるので、可能な限り適温に近づけるようにしてください。

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温度勾配も大切

適温にすることの他に重要なのが、温度勾配をつくることです。

温度勾配とは場所による温度差のことで、ケージ内に温度勾配があると、レオパが好きな温度のところを選んで活動することができます。

温度勾配をつくるのに適した保温器具もあるので、活用してみてください。

保温する方法

保温するやり方は大きく分けて2つあり、エアコンや暖房器具を用いて部屋全体の温度を上げるやり方と爬虫類用の保温器具を使用してケージ内の温度を上げるやり方があります。

冬場に部屋の温度をヒョウモントカゲモドキの適温まで上げようとすると、部屋にいる人間が暑さにやられますし(冬場の25℃は結構暑いです)、24時間その温度を保つとなると電気代が馬鹿にならないので、基本的には爬虫類用の保温器具を使って温度を上げて、足らない場合にエアコンや暖房器具を併用する形になると思います。

爬虫類用の保温器具はいくつか種類があって、それぞれ特長があります。

パネルヒーター

ケージの下に敷いて温めるタイプのヒーターです。

薄いシートのようになっており軽くて扱いやすい。温度がそこまで高くならないのでプラスチックやアクリルのケージでも溶ける心配はないです。

パネルの部分だけが温まるという特性をもっているので、部分的な保温をするのに適しています。

底面の1/2~1/3ほど敷くことで、簡単に温度勾配をつくることができます。

パネルヒーターは触れている部分が温まりますが、空気を直接温める効果はあまり期待出来ません。そのため冬場はパネルヒーターのみだと厳しいかもしれません。

それでも、下からの保温でヒョウモントカゲモドキのお腹を温めて、消化を促してやったり、温度勾配をつくるという役割はパネルヒーターにしかできないので、使用している飼い主は多いです。

あくまでパネルヒーターは補助として使い、メインは保温球や暖突にまかせる使い方がよろしいかと思います。

パネルヒーターの使い方

パネルヒーターは、飼育ケージの下に設置して使います。底面に設置するのが難しい(あるいは効果が薄い)場合は側面に貼り付けて使うこともできます。

飼育ケージの中に設置するのは、あまりおすすめはしません。水入れの水がはねたり、尿で濡れたりすると故障することがあり、排泄物等で汚れるので掃除が面倒になります。

ただし、防水仕様のパネルヒーターであればケージ内で使うことができます。

ケージ内で使う場合、パネルヒーターの表面温度は40℃前後になるものが多く、ヒョウモントカゲモドキには熱すぎるので、直接触れないようにはしてください。

パネルヒーターを効果的に使うには

設置にあたって意識しておきたいのは、ケージとパネルヒーターをできるだけ密着させるということです。パネルヒーターは、ケージと密着しているときに、最大の効果を発揮して、隙間が大きくなるにつれて効果が薄れていきます。

プラケースのように底に足がついていて、隙間ができてしまう状態では、十分な保温が期待できないので、密着させましょう。

具体的には、テープで貼り付けたり、パネルヒーターに下に断熱材を敷いておいて底上げするなどの方法があります。

パネルヒーターの下に断熱材を敷いておくと、底上げになるだけでなく、熱を効率よくケージ内に伝える効果もあったりします。

断熱材として使えるものは、身近なもので発泡スチロールやダンボール、アルミシート、気泡緩衝材(プチプチ)などがあります。ホームセンターにいけば、スタイロフォームのような高性能な断熱材も購入できます。

定番のパネルヒーターではありますが、飼育環境によってはパワー不足かもしれません。
パネルヒーターの中では安い部類ですので、お財布に優しいです。パワーも十分あります。
ダイヤルを回すことで、設定温度を調節することができます。
同じメーカーが出しているケースバイケースにピッタリ収まります。
商品説明を見た感じでは、一番安全対策を施してありそうです。ヒーターの火災事故は怖いので安全面も意識してあると嬉しいですね。

他のパネルヒーターと違って、本体とケージとの間に隙間をあけおくのが、正しい使用法のようです。プラケースや一部の爬虫類ケージは下に隙間があるので、そのまま入れればOKです。

同じメーカーが出しているグラステラリウムも下に隙間があるので、多分そのようなケージを考慮して作られているのだと思います。

保温球

赤外線を発してケージ内を温める電球です。保温球とひとくちに言っても種類があるので、用途にあったものを使ってください。

昼用(バスキングライト)

昼行性の爬虫類がバスキング(日光浴)をするためのライトです。ヒョウモントカゲモドキは夜行性ですから、バスキングの必要はないので不要です。

夜用

月明かりをイメージした青色の光をだします。夜に活動する生体のための保温球ですから、ヒョウモントカゲモドキの保温に適しています。

昼夜兼用

朝方・夕方をイメージした赤色の光をだします。昼行性・夜行性の両方に対応しているので、ヒョウモントカゲモドキにも使えます。

散光型と集光型

保温球の商品名を見ると散光型と集光型の2タイプがあると思います。

散光型は全体に光を当てるので全体保温に適しています。

集光型はに一か所に光を集中して照射するので、スポットで温めるのに適しています。

樹上性ヤモリなどで、保温球をケージ外から照射する場合は、散光型では温度が上がりづらいので集光型を使うことが多いようです。

上記のような役割の違いこそありますが、ケージ内に保温球を設置した場合はどちらもケージ内を温度を上げてくれるので好きなほうを選んで問題ないです。

ワット数について

ワット数は保温球の能力を表し、ケージのサイズによって適切なワット数がおおよそ決まっています。

ワット数が足りない保温球では、ケージを十分に保温できない可能性があります。必要なワット数を決める条件はケージのサイズ(保温する空気の体積)と室温の2つになります。

ケージのサイズと保温球の適切なワット数の対応関係は以下の通りです。

45cmケージ 40~60W
60cmケージ 60~80W
90cmケージ 100W以上

寒い地域に住んでいて、室温が低い環境で飼育するのであれば、ワット数には余裕を持っておいたほうが良いです。ワット数が大きい分には、サーモスタットが調整してくれるので問題無いです。

昼夜兼用集光形の保温球で、赤い光を出します。
夜用散光型の保温球で青い光を出します。ヒートグローと比べると保温力が弱い気がするので、ワット数には余裕を持っておいたほうがいいかもしれません。
昼夜兼用集光型。ジェックスのヒートグローとは違うワット数でシリーズを出しています。
夜用散光型。こちらもジェックスのナイトグローとは違うワット数でシリーズを出しています。

クリップスタンド

保温球・セラミックヒーターを使うのに必要な器具です。
対応しているワット数であれば、どのクリップスタンドでも使えます。
爬虫類用のものも市販されていて

  • 対応ワット数
  • 設置方法の多さ
  • 照射角度の自由度
  • 耐熱性・放熱性

これらが一般の製品より優れている傾向にあります。

爬虫類用であれば、どのメーカーの製品もそれなりに使いやすいと思います。
見た目であったり、細かい部分が気になる方は、商品画像やレビューをよく見ておくと良いでしょう。

200Wまで対応
150Wまで対応
100Wまで対応
150Wまで対応

こんな設置方法も・・・

75Wまで対応
レプタイルライトスタンドあたりと合わせて使います。
この手のスタンドを使う利点は

  • 高さをいじれるので温度の調節がしやすい
  • 世話をするときに邪魔にならない
  • 外部から保温するので生体がヤケドしない
  • 飼い主もクリップスタンドよりヤケドする危険がない
  • 見た目がオシャレ

などがあって、費用は掛かりますが、検討する価値は十分にあると思います。

ケージ内の景観を壊さないので、レイアウトを重視したい方は、このようなスタンドを使って保温すると良いでしょう。

使用上の注意

保温球は非常に高温になるので、触れてヤケドしないように気をつけてください。レオパも触れる事のないように、飼育環境には注意を払いましょう。高さのあるレイアウトにしておくと、レオパが立ち上がって、思わぬところに届くときがあります。

設置するときは、ケージの材質にも注意してください。プラスチックやアクリルのケージで使用すると変形したり溶けたりする可能性があります。

割れる危険性があるので、霧吹きなどで水滴がつかないようにしてください。

セラミックヒーター

セラミック(陶器)でできた電球で、光を一切ださないのが特長です。

光を出さない保温球であり、鑑賞の邪魔をすることもありません。ガラス製のものと比べて強度も高いので、割れる危険性も低いです。

保温球の光の色が気になる方や寝室で飼っている方にもおすすめ。

値段が割高なことと、光をださないので電球が切れたかどうかの確認がしづらい部分があるので採用するかどうかは少し悩むところではありますかね。

小さくてスマートな見た目をしたセラミックヒーターです。ワット数は細かく刻んであるので、選ぶのに困ることはないと思います。

白色と黒色がありますが性能に違いはないので、好みの色を選んでください。

私が確認したときは、ペットペットゾーンのミニックより安かったです。

ワット数の刻みが大きいので、選択肢は少なめです。

暖突

板状の保温器具でケージの上部の裏側に取り付けて保温します。広範囲に遠赤外線を放出して効率よくケージ内を温めます。

同じ保温効果の保温球とくらべた場合に、1/3の消費電力で温めることができます。

暖突の表面は高温になっていますが特殊な不織布に覆われていて、触れてもヤケドはしないです。防水性にも優れていて、霧吹き程度なら問題なく使えます。

寿命に関しても、球切れのある保温球と違って故障しなければ半永久的に使えます。

総合的にみても保温球より遥かに優れた商品であるといえますね。

保温球より値段は高いですが、電気代や電球の交換を考えたら暖突のほうが安く済むと思います。

本体サイズ (幅×奥行×高さ) :14.1×2.1×19.1cm
消費電力:13W
使用ケージサイズ目安:45cm水槽程度
本体サイズ (幅×奥行×高さ) :20.4×2.1×25.4cm
消費電力:32W
使用ケージサイズ目安:60cm水槽程度
本体サイズ (幅×奥行×高さ) :14.1×2.1×40cm
消費電力:32W
使用ケージサイズ目安:60cm水槽程度

暖突の使い方

付属のパーツ(ネジ、ワッシャー、ドライバー)を使って、ケージの上部に取り付けて使用します。

爬虫類ケージであれば、フタが金網になっているはずなので、取り付けには苦労しないはずです。水槽はバーベキュー網やハープネットなどを使って取り付けましょう。

プラケースはフタに乗せると、熱さで溶けるので注意してください。背面はそこまで熱くならないので、フタを少し改造して取り付けるか、バーベキュー網をフタの代わりにして取り付けます。

暖突の設置に関しては、他の飼育者の方々が様々な工夫をしているので、参考にしてみるのもよいでしょう。

暖突の保温効果は高さに影響されていて、対象との距離が近いほど温めやすい性質になっています。そのため、石やレンガ、流木などで高さをつけたレイアウトにしておくと、レオパが温度を選べる環境をつくることもできます。

どの保温器具を使えばよいのか

ここまでで3種類の保温器具を紹介しましたが、どれを使えばよいのか説明します。

まず理解しておきたいのが、パネルヒーターは温かい場所をつくる保温器具であり、空気を暖める効果は薄いということ。

パネルヒーターだけだと空気が暖まらないので、冬を越すのは厳しいです。

とはいってもパネルヒーターは、簡単に温度勾配をつくれる保温器具ですので、できるだけ使うようにしましょう。

保温球か暖突なら空気を暖めることができるので、最低でもどちらかは使用します。

保温器具を設置しても、適温にならない場合の対処法として

  • よりワット数の大きい保温器具にする
  • 保温器具を追加する
  • ケージの周りを断熱材で囲む

などがあります。

スタイロフォームという断熱材でケージを囲むと、だいぶ違いますし、安上がりなので、保温に悩んでいる人は試してみてください。

サーモスタット

保温球や暖突のような調節機能のない保温器具は、サーモスタットと合わせて使います。サーモスタットとは、温度を自動で調節してくれる装置のことです。

例えば、暖突をサーモスタットにつないで28℃に設定しておいたとします。

この場合は、温度が28℃になるとサーモスタットが暖突をオフにしてこれ以上暖まらないようにし、温度が28℃を下回ると暖突をオンにして保温を開始します。

このようにしてサーモスタットは、任意の温度になるように調整してくれるのです。

もしサーモスタットがなかったら、保温器具は限界まで暖めようとするので、生体が蒸し焼きになってしまいます。

このような事態は避けなければならないので、保温器具は必ずサーモスタットと合わせて使うようにしましょう。

ちなみに保温器具の能力が不足している場合は、サーモスタットで任意の温度に設定していても、正常に保温されないので注意しておきましょう。

ダイヤル式の一般的な爬虫類サーモです。

液晶画面で温度設定をするので、初心者でも簡単に使えます。

ただ温度管理をするだけではなくて

  • 設定した時間帯に照明をON/OFFするタイマー機能
  • 停電時のバックアップ機能(約1時間保持)
  • 異常を知らせてくれる警報ランプ
  • 昼夜で違う温度に設定できる二段階の温度管理機能

のような機能も備わっています。

値段は高いですけど、それに見合う価値は十分すぎるくらいにあると思います。

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